Kindle Unlimitedの印税の仕組みを徹底解説
「Kindle Unlimitedに登録すると、印税ってどうなるの?」
Kindle出版を始めようとしている方、あるいは最近1冊目を出した方から、こういう質問をよく受けます。正直、最初は自分もよくわからなくて調べるのに時間がかかりました。
通常の「本が売れたら印税が入る」という仕組みとは、根本的に計算の仕方が違うんです。知らずにいると「なんでこの金額なんだろう?」と混乱することになります。
この記事では、Kindle Unlimitedの印税がどういう仕組みで決まるのか、何をすれば収益が増えるのかを、できるだけわかりやすく解説します。
1. そもそもKindle Unlimitedとは(著者目線で)
Kindle Unlimited(通称KU)は、Amazonの月額読み放題サービスです。読者は月980円(税込)を払えば、対象の本を何冊でも読めます。
読者にとってのメリットはわかりやすいですが、著者にとってはどうでしょうか。
ポイントは「読まれるハードルが下がる」という点です。知らない著者の本を1冊500円出して買うのはちょっと躊躇しますよね。でも読み放題なら「とりあえず読んでみるか」という気持ちになりやすい。
まだ名前が知られていない段階でも、読者に手に取ってもらいやすくなるのは大きなメリットです。ただし、その分「読まれた量」によって収益が変わる仕組みになっているので、通常販売とは収益の考え方が違ってきます。
2. 通常販売の印税とどう違うのか
Kindle出版の収益には、大きく2つのパターンがあります。まずここを整理しておきましょう。
① 通常販売による印税(ロイヤリティ)
読者が本を購入したときに発生する収益です。印税率は価格によって変わります。
| ロイヤリティ率 | 対象となる販売価格 |
|---|---|
| 70% | 250円〜1,250円の範囲で設定した場合 |
| 35% | 99円など、上記の価格帯から外れる場合 |
500円の本を70%で設定した場合、配信コスト(ファイルサイズに応じた数十円)を引いた残りが収益になります。おおまかに1冊あたり330〜340円ほどのイメージです。
② Kindle Unlimited(KU)経由の既読ページ報酬
こちらは「本が売れた冊数」ではなく、「実際に読まれたページ数」に応じて収益が発生します。
これが通常販売との最大の違いです。購入されても最後まで読まれなければ収益は少なくなりますし、逆に多くの人が最後まで読んでくれれば、その分だけ収益が積み上がっていきます。
3. 印税のカギを握る「KENPCレート」とは
KU経由の収益を理解するには、KENPCという言葉を覚える必要があります。
KENPCとは何か
正式名称は「Kindle Edition Normalized Page Count」。日本語にすると「Kindle版の正規化ページ数」です。
読者が使うデバイスや文字サイズによって、同じ本でも表示されるページ数は変わります。そこでAmazonは、標準フォーマットで統一した「公平なページ数」を算出しています。これがKENPCです。
自分の本のKENPC数は、KDPの管理画面(本棚)から確認できます。
KENPCレートとは
既読1ページあたりに支払われる単価が「KENPCレート」です。KU収益の計算式はシンプルです。
| KU印税 = 読まれた総ページ数(KENP)× KENPCレート |
たとえば、ある月に自分の本が合計10,000ページ読まれて、その月のKENPCレートが0.45円だったとします。
10,000ページ × 0.45円 = 4,500円

「何冊売れたか」ではなく「合計で何ページ読まれたか」が収益を左右するわけです。これを知っているかどうかで、出版後の戦略がかなり変わってきます。
4. KENPCレートを決める「グローバル基金」の仕組み

KENPCレートは毎月変動します。それを決めているのが「KDPセレクト グローバル基金」という仕組みです。
グローバル基金とは
Amazonが毎月、Kindle Unlimitedに登録している著者全員への支払い用に用意する資金プールです。毎月KDPからメールで金額が通知されます。
2025年時点では、月ごとに6,000万ドル前後(約90〜100億円)規模で推移しています。
KENPCレートの計算の仕組み
| KENPCレート = グローバル基金の総額 ÷ その月に世界中で読まれた総KENP数 |
つまり、基金が増えても世界中でそれ以上にページが読まれていれば単価は下がります。逆に、基金が変わらなくても読まれる総ページ数が少なければ単価は上がります。
また、グローバル基金はドル建てで設定されるため、円安になると日本円でのKENPCレートは高くなり、円高になると低くなるという為替の影響も受けます。
著者個人にはどうにもできない部分ではありますが、仕組みとして知っておくことで、月ごとの収益変動に一喜一憂しなくて済むようになります。
5. 実際いくら稼げる?収益シミュレーション
少し具体的な数字で見てみましょう。KENPCレートは参考値として0.45円で計算します。
ケース① :200ページの本が100人に最後まで読まれた場合
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 総既読KENP | 200ページ × 100人 = 20,000ページ |
| KENPCレート | 0.45円 |
| KU収益 | 9,000円 |
ケース②:300ページの本が50人に読まれた場合
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 総既読KENP | 300ページ × 50人 = 15,000ページ |
| KENPCレート | 0.45円 |
| KU収益 | 6,750円 |
通常販売とKUを組み合わせたリアルなシミュレーション
書籍の設定:500円・70%ロイヤリティ・KENPC 200ページ
その月の実績:通常販売30冊 + KU経由で延べ50,000ページ読まれた
| 収益の種類 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 通常販売 | 500円 × 70% × 30冊 | 10,500円 |
| KU収益 | 50,000ページ × 0.45円 | 22,500円 |
| 合計 | 33,000円 |

このケースでは、KU経由の収益が通常販売の2倍以上になっています。実際にKindle出版で収益を上げている著者の多くが「KUがメインの収益源になった」と話すのも、なんとなくイメージできるかと思います。
6. KDPセレクトに登録するメリット・デメリット
KU経由の収益を得るには、本を「KDPセレクト」に登録する必要があります。
KDPセレクトとは
本をAmazon(Kindleストア)で90日間、独占的に販売することを約束するプログラムです。
「独占」というのがポイントで、登録期間中は楽天Kobo・Apple Booksなど、他の電子書籍ストアで同じ本を販売することができません。
✅ メリット
KU対象本になれる(これが最大の理由)
KDPセレクトに登録した本は、Kindle Unlimitedで読み放題の対象になります。既読ページ数に応じてKENPロイヤリティが発生するようになります。
無料キャンペーンを使える
90日の登録期間ごとに最大5日間、本を無料公開できます。新刊を出したタイミングでランキングを上げたり、認知度を広げたりするのに使えます。
Amazon広告が使える
KDPセレクト登録本は、Amazon内での広告出稿が可能になります。ターゲットを絞って露出を増やせる点は、本を知ってもらう上でかなり有効です。
⚠️ デメリット
90日間は他のストアで売れない
楽天KoboやApple Booksなどで同時出版を考えているなら、KDPセレクトとは相性が良くありません。どちらを優先するか、事前に決めておく必要があります。
自動で更新される
意識していないと90日ごとに自動で再登録されます。「他のストアに出したくなった」タイミングで気づくと手続きが面倒になるので、管理画面での確認を習慣にしておきましょう。
ブログ等での全文公開はNG
同じ内容をブログやnoteで全文無料公開していると規約違反になるケースがあります。一部抜粋なら問題ありませんが、全文はNGです。

他のストアへの同時出版を特に考えていないなら、KDPセレクトへの登録はまず入れておいて間違いないと思います。
7. KENPCレートの現在の相場と変動要因
今の相場感
直近(2023年後半〜2025年)のKENPCレートは、おおよそ1ページあたり0.4〜0.5円前後で推移しています。数年前は0.6円を超えていた時期もあったので、以前より少し落ちているのは事実です。
💡 「0.45円くらいを目安に計算しておけばおおむね外れない」という感覚で見ておくといいです。為替レートや月によってもブレがあるため、あくまで参考値として。
なぜ毎月変動するのか
主な要因は3つです。
| 変動要因 | 内容 |
|---|---|
| グローバル基金の増減 | Amazonが毎月設定する資金総額が変わる |
| 世界全体の総KENP数 | 登録本が増えるほど読まれる総ページ数が増え、単価が下がりやすくなる |
| 為替レート | 基金はドル建てのため、円安・円高の動きがそのまま単価に影響する |
著者にできることは「レートが高い月は運がいい、低い月はしょうがない」と割り切って、自分でコントロールできる「読まれるページ数を増やす」ことに集中することです。
8. 読まれるページ数を増やすための具体的な工夫

KENPCレートは操作できませんが、「読まれる総ページ数」は工夫次第で増やすことができます。
① ページ数(ボリューム)を適切に設定する
薄すぎる本は1冊あたりのKENP収益が少なくなります。逆に厚すぎると読了率が落ちる。一般的に2万〜4万文字程度(KENPCで150〜300ページ相当)が、読まれやすさと収益のバランスが取れているとされています。
② シリーズ展開を意識する
「入門編→実践編→応用編」といったシリーズにすると、1人の読者に複数冊を読んでもらいやすくなります。各巻の末尾に「次の巻はこちら」というリンクを入れておくだけで、読み続けてもらいやすくなります。
ハマってもらったら次の巻も読んでもらえる、というのはシリーズ展開の大きな強みです。
③ 表紙・タイトル・説明文を手を抜かない
KUの読者は気軽に本を探しているとはいえ、目に止まらなければ読んでもらえません。
スマホ画面で見ても何の本かわかる表紙、「何が学べるか」が一目でわかるタイトル、読む気にさせる商品説明文の3点セットは、地味ですが収益に直結します。
④ 出版本数を積み上げる
1冊から得られる収益には限りがありますが、10冊あれば各本が少しずつ読まれることで収益が積み上がります。クオリティは落とさずに、コンスタントに出し続けることが安定収益への近道です。
⑤ 無料キャンペーンや広告で最初の露出をつくる
出したばかりの本は誰にも知られていません。KDPセレクトの無料キャンペーン(最大5日間)でランキングを上げると、その後の読まれやすさが変わります。Amazon広告もうまく活用できると読者との接点が増えます。
9. よくある疑問Q&A
Q. KENPCって自分で設定できますか?
できません。KENPCはAmazonが標準フォーマットをもとに自動計算します。テキスト量や図表の有無などによって数値が変わりますが、著者が直接変更する手段はありません。
Q. 読者が途中でやめた場合、印税はどうなりますか?
読まれたページ数分だけ収益になります。最後まで読まれなくても、読まれたページ数に応じてKENPが計上されます。ただ、読了率が高い本の方が収益も多くなるのは自然なことです。
Q. 過去のKENPCレートはどこで確認できますか?
KDPレポートの「過去のレポート」ページで確認できます。毎月中旬ごろに前月分のデータが確定・公表されます。
Q. KDPセレクトをやめたいときは?
KDPの管理画面から「自動更新をオフ」にします。現在の登録期間が終わってから解除されます。登録期間の途中でいきなりやめることはできないので、タイミングに注意してください。
Q. 通常販売の印税とKU収益は同時に入りますか?
はい、両方入ります。通常販売(購入)とKU経由の既読ページ報酬は別々に集計され、合算されて毎月支払われます。
まとめ
Kindle Unlimitedの印税は「売れた冊数」ではなく「読まれたページ数」で決まります。これが通常の販売収益との一番大きな違いです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 収益の計算式 | 読まれた総ページ数(KENP)× KENPCレート |
| KENPCレートの相場 | 0.4〜0.5円/ページ前後(毎月変動) |
| KUに対応する条件 | KDPセレクトへの登録(90日間の独占契約) |
| 著者にできること | 読まれるページ数を増やす工夫に集中する |
| 通常販売との関係 | 両方の収益が同月に発生・合算して支払われる |
「仕組みがわかれば、次に何をすべきかが見えてくる」というのはKindle出版に限らず言えることです。出版後に「思ったより収益が入らない」と感じているなら、今回の内容をもとに自分の状況を確認してみてください。何かひとつ改善できるポイントが見つかるかもしれません。
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