Apple Books で電子書籍を出版する方法: 特徴、ロイヤリティ等の詳細ガイド
Apple Books で電子書籍を出版する方法: 特徴、ロイヤリティ、そして出版プロセスの詳細ガイド
はじめに
電子書籍市場の急速な成長に伴い、多くの作家や出版社が様々なプラットフォームで作品を公開するようになりました。その中でも、Apple Books は Apple 製品ユーザーに特化した重要な電子書籍プラットフォームとして注目を集めています。本記事では、Apple Books での電子書籍出版について、その特徴やロイヤリティ、出版プロセスなどを詳しく解説していきます。
Apple Books とは

Apple Books は、以前 iBooks として知られていた Apple 社の電子書籍アプリケーションです。このアプリは、iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Apple Watch、Apple TV など、ほぼすべての Apple デバイスで利用可能です。
主な特徴
- Apple ID があれば追加登録不要で利用可能
- 家族間での書籍共有機能
- テキストのハイライトやコピー機能
- 幅広いジャンルの電子書籍を提供
Apple Books は、単なる電子書籍リーダーではなく、作家や出版社が直接作品を公開できるプラットフォームとしても機能しています。
Apple Books の電子書籍出版の特徴

Apple Books での電子書籍出版には、いくつかの特徴があります。
- 無料での出版 Apple Books では、誰でも無料で電子書籍を出版することができます。これは、新人作家や自費出版を考えている方にとって大きなメリットです。
- Apple ユーザー限定 Apple Books の電子書籍は、Apple 製品ユーザーのみが購入・閲覧できます。Android デバイスでは利用できないため、ターゲット読者を絞り込む必要があります。
- マルチメディア機能 Apple Books の特筆すべき特徴の一つは、電子書籍に動画やプログラムなどのマルチメディアコンテンツを組み込めることです。これにより、従来の紙の本では実現できなかった、インタラクティブな読書体験を提供することが可能になります。
- コンテンツの更新機能書籍発売後でも、著者はコンテンツを更新し、読者に追加データを無料で配信することができます。この機能は、特に非フィクションや教育関連の書籍で有用です。
- 国際展開の容易さ Apple Books を通じて、世界中の Apple ユーザーに向けて書籍を販売することができます。言語や地域の壁を越えて、グローバルな読者にリーチすることが可能です。
ロイヤリティについて
Apple Books のロイヤリティ構造は、他のプラットフォームと比較してシンプルです。
Apple Books ロイヤリティ率
- 基本ロイヤリティ率: 70%
- 条件: 本の価格帯や独占契約などの条件なし
この高いロイヤリティ率は、多くの作家にとって魅力的な要素です。しかし、いくつかの注意点があります。
Apple Books出版の注意点
- 詳細な情報の不足ロイヤリティに関する詳細な情報が公式サイトなどで見つけにくい場合があります。これは、透明性の観点から改善の余地がある点です。
- 税金関連の手続き EIN(米国法人番号)の取得・提出が必要です。これを怠ると、日本だけでなくアメリカでも課税される可能性があります。
- ファイル形式の制限 Apple Books で使用できるファイル形式は .ibooks と EPUB (.epub) のみです。他の形式で作成した原稿は、これらの形式に変換する必要があります。
出版プロセスの詳細

Apple Books で電子書籍を出版するプロセスは、以下の手順で進みます。
- ステップ 1: iTunes Connect へのログイン
- Apple ID を使用して iTunes Connect にログインして、発行元情報(法人/個人、配信元名など)を入力します。登録確認メールを受け取り、パスワードを設定します。
- ステップ 2: 個人情報の入力
- iTunes Connect にログインし、以下の情報を英語で入力します。
・Contact Info(連絡先情報)
・Banking Information(口座情報)
・Tax Information(税金関連情報)
※注意: すべての情報を英語で入力する必要があります。日本語とは異なる入力順序や表記方法に注意しましょう。
- ステップ 3: 書籍のアップロード
- iTunes Producer のダウンロードとインストールする。※Mac 専用アプリ「iTunes Producer」を使用して書籍をアップロードします。
必要なファイルの準備:原稿データ(.ibooks または .epub 形式)、表紙画像、カバーアート画像(ストアの書籍一覧ページ用)、無料サンプル用の ePub ファイル
※審査プロセスアップロードされた書籍は Apple の審査を受けます。審査結果の通知はないため、定期的にステータスを確認する必要があります。
- ステップ 4: 販売開始
- 審査に通過すると、自動的に Apple Books での販売が開始されます。
Apple Books 出版のメリットとデメリット
Apple Books出版のメリット
- 高いロイヤリティ率(70%)
- グローバルな読者へのアクセス
- マルチメディア機能の活用
- コンテンツの更新が可能
- Apple ブランドの信頼性
Apple Books出版のデメリット
- Apple 製品ユーザーのみが対象
- Mac が必要な出版プロセス
- EIN 取得の手続きが必要
- 審査結果の通知がない
- ファイル形式の制限
なお、出版プロセスに不安がある方は、電子書籍出版代行サービスを利用することで、初心者でも比較的安価に高品質な出版を実現することができます。詳しくはこのサイトの関連記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ

Apple Books は、高いロイヤリティ率とグローバルな Apple ユーザー基盤へのアクセスを提供する魅力的な電子書籍出版プラットフォームです。マルチメディア機能やコンテンツ更新の柔軟性は、特に教育書や技術書の著者にとって大きな利点となります。
しかし、Apple 製品ユーザーのみをターゲットとすることや、出版プロセスの複雑さは考慮すべき点です。多くの作家は、Apple Books を含む複数のプラットフォームで作品を公開することで、より広い読者層にリーチしています。





