電子書籍レビューを増やす5つの方法
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はじめに
電子書籍を出版した後、多くの著者が直面する課題の一つがレビュー不足です。Amazonや楽天Koboなどの電子書籍プラットフォームでは、レビュー数とその評価が販売に大きく影響します。実際、レビューの多い本は検索結果で上位表示されやすく、購入を検討している読者に信頼感を与えることができます。しかし、特に新人著者にとって、レビューを集めることは容易ではありません。
この記事では、電子書籍のレビューを効果的に増やすための5つの方法をご紹介します。
初心者の方でも実践できる具体的な手法から、経験を積んだ著者が活用できる高度な戦略まで幅広くカバーしています。あなたの電子書籍がより多くの読者に届き、適切な評価を得るためのヒントを見つけてください。
なぜ電子書籍のレビューが重要なのか
レビューを増やす方法に入る前に、まずはレビューがなぜ重要なのかを理解しましょう。

検索アルゴリズムへの影響
Amazonをはじめとする電子書籍プラットフォームでは、レビュー数と評価がアルゴリズムに大きく影響します。レビューの多い書籍は、検索結果で上位に表示される可能性が高まり、新規読者の目に留まりやすくなります。特にAmazonでは、「レビュー数」「星評価」「認証済み購入者のレビュー比率」などが重要な要素となっています。
読者の購買判断材料
多くの読者は購入前にレビューをチェックします。電子書籍は実物を手に取って中身を確認できないため、他の読者の感想は特に重要な判断材料になります。レビューがゼロまたは少ない本は、いくら内容が素晴らしくても敬遠されがちです。とある調査会社によると、消費者の約70%が購買決定前にオンラインレビューを参考にしているとのデータもあります。
著者の信頼性向上
一定数の良質なレビューが集まると、著者としての信頼性も高まります。これは特に新刊を出版する際に大きなアドバンテージとなります。「前作が好評だった著者の新刊」という位置づけは、新規読者を獲得する上で非常に効果的です。
電子書籍レビューを増やす5つの方法
それでは本題に入りましょう。以下に紹介する5つの方法は、いずれも実践的かつ効果的なアプローチです。あなたの状況や目標に合わせて、最適な組み合わせを選んでください。

1. レビューリクエストページを本の中に設ける
多くの読者は、本を読み終えた後にレビューを書くことを忘れてしまいます。この問題に対処するもっとも効果的な方法の一つが、本の中にレビューリクエストページを設けることです。
効果的な設置場所
- 本の終わり:読者が内容をすべて読み終えた直後が最適です。この時点で読者は本の価値を十分に理解しており、感想も新鮮です。
- 各章の終わり:長編書籍の場合、各章の終わりにも軽いリマインダーを入れることで効果が上がるケースがあります。
リクエストの書き方
レビューをお願いする際の文章は非常に重要です。以下のポイントを意識しましょう:
- 感謝の気持ちを伝える:まず読者への感謝の言葉から始めましょう。「本書を最後まで読んでいただき、ありがとうございます」など。
- レビューの重要性を説明する:「あなたのレビューは、他の読者が本書を見つける助けになります」のように、レビューが著者や他の潜在的読者にとってなぜ重要なのかを簡潔に説明します。
- 具体的な行動を促す:「星評価とコメントを残していただけると嬉しいです」など、具体的に何をしてほしいのかを明確に伝えます。
- QRコードやリンクを提供する:可能であれば、レビューページに直接アクセスできるQRコードやリンクを入れると、読者の手間が減り、レビュー率が上がります。
実践例

このように丁寧にお願いすることで、読者のレビュー投稿率を2〜3倍に高めることができるという調査結果もあります。
2. ARCレビュープログラムを活用する
ARCとは「Advanced Reader Copy(先行読者コピー)」の略で、本の正式発売前に一部の読者に無料で提供し、レビューを依頼する方法です。これは多くの出版社が採用している伝統的な手法ですが、電子書籍の自主出版でも非常に効果的です。

ARCレビュー実施のステップ
- 対象読者の選定:
- 以前の本の熱心な読者
- ブログやSNSのフォロワー
- 関連分野のコミュニティメンバー
- メールマガジンの購読者
- 読者への依頼方法:
- メールやSNSで直接声をかける
- メールマガジンで募集する
- 関連コミュニティで告知する
- 依頼時の注意点:
- 強制ではないことを明確にする
- 正直な感想を求めていることを伝える(ポジティブなレビューのみを求めると不自然になります)
- 提供する本は完成版に近いものを用意する
- レビュー投稿の目安となる日程を提示する
- フォローアップ:
- 本を提供したら、1週間後に読書の進捗を確認する
- 発売日前に優しくリマインドする
- レビューを書いてくれた方には必ずお礼を述べる
法的・倫理的配慮
ARCレビューを依頼する際は、以下の点に注意が必要です:
- 開示義務:各プラットフォームの規約に従い、レビュアーには無料で本を提供したことを明記してもらう必要があります。例えば「本書は著者から無料で提供を受けましたが、レビュー内容は私の正直な感想です」といった一文を入れてもらいましょう。
- レビュー内容への介入禁止:レビュアーに特定の評価や内容を書くよう指示することはプラットフォームの規約違反になります。
- 適切な人数:過剰に多くのARCを配布することは避け、本の規模と目標に応じた適切な数(例えば10〜30人程度)にとどめましょう。
ARCレビュープログラムを適切に実施することで、発売開始時点から一定数のレビューを確保でき、本の初動を大きく後押しすることができます。
3. メールリストの活用
既存の読者やファンとの直接的なコミュニケーションツールとして、メールリストは非常に価値があります。特に複数の電子書籍を出版している著者にとって、メールリストはレビュー獲得の重要な資産となります。
メールリスト構築の基本
- サインアップインセンティブ:無料の小冊子や特別レポート、動画コンテンツなどを提供し、メールアドレス登録を促します。
- 本の中にメールリスト登録の案内:電子書籍の中に「より詳しい情報や追加コンテンツを受け取りたい方はこちら」といった形で登録ページへの誘導を入れます。
- ウェブサイトやSNSでの登録促進:自分のブログやSNSアカウントから定期的にメールリスト登録を案内します。
レビュー依頼のタイミングと方法
- 新刊発売のお知らせメール:
件名:【新刊のお知らせ】あなたにぜひ読んでほしい本ができました
○○さん
いつもメールをご覧いただきありがとうございます。
この度、待望の新刊「○○○○」を出版しました!
<本の概要、特徴、読者メリットなどを簡潔に>
発売を記念して、3日間限定で特別価格○○円で提供しています。
以下のリンクからチェックしてみてください:
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また、本書を読んだ感想をぜひレビューでお聞かせください。
皆様のご意見が私の大きな励みになります。
引き続きよろしくお願いいたします。 - 購入者向けフォローアップメール:
件名:「○○○○」はいかがでしたか?
○○さん
先日は私の新刊「○○○○」をお買い求めいただき、誠にありがとうございました。
本書はいかがでしたでしょうか?お役に立てる内容だったでしょうか?
もしお時間があれば、ぜひ率直な感想をレビューとして残していただけると嬉しいです。
たった1分で完了し、他の読者の方々の大きな参考になります。
レビューを書く:[リンク]
ご協力いただける方には、お礼として○○(特典)をプレゼントします。
レビュー投稿後、このメールに返信していただければ、すぐにお送りします。
いつも応援していただき、ありがとうございます。
メール活用のポイント
- 強制感を与えない:「ぜひ」「よろしければ」など柔らかい表現を使い、強制感を与えないようにします。
- 感謝の気持ちを表す:読者への感謝の気持ちを常に表現します。
- 特典の活用:レビューを書いてくれた方への特典を用意することで、回答率を高めることができます。ただし、「良いレビューを書いたら特典」といった条件付けは避けてください。
- タイミング:購入後1〜2週間程度、読書に十分な時間が経過した頃が最適です。
メールリストを適切に活用することで、レビュー獲得率を通常の2〜3倍に高めることができます。特に複数の本を出版している著者は、この方法に力を入れるとよいでしょう。
4. SNSを活用したレビュー促進
SNSは読者とつながり、本の宣伝だけでなくレビュー収集にも効果的なツールです。特にTwitter(X)、Instagram、Facebook、noteなどは多くの読者が活用しているプラットフォームです。

各SNSの特性を活かした活用法
Twitter(X):
- 140字の制限があるため、簡潔なメッセージと画像の組み合わせが効果的
- ハッシュタグを活用して関連コミュニティにリーチ(例:#電子書籍 #Kindle #読書好きと繋がりたい など)
- 定期的に「読者の声を聞かせてください」といったツイートを投稿
Instagram:
- 視覚的なプラットフォームなので、本の表紙やハイライト部分の画像を活用
- ストーリーズ機能を使った質問ボックスで読者の感想を募集
- リンクインバイオで容易にレビューページに誘導
Facebook:
- グループ機能を活用して読者コミュニティを作る
- イベントページを作成して新刊発表会や読者会を開催
- 詳細な投稿で本の魅力や読者からのフィードバック重要性を伝える
note:
- 本の一部を抜粋して公開し、続きを読んだ感想をレビューで共有してもらう
- 読者との対談企画などのオリジナルコンテンツを提供
SNS活用の具体的戦略
- 読者との関係構築:
- 一方的な宣伝ではなく、読者とのコミュニケーションを重視
- コメントには必ず返信し、感謝の気持ちを表す
- 読者からの質問に丁寧に回答する
- コンテンツの工夫:
- 本の一部を抜粋して紹介
- 本の制作秘話や裏話を共有
- 読者からの質問にQ&A形式で回答
- 関連する追加情報や最新情報を提供
- 読者参加型の企画:
- レビュー投稿者の中から抽選で特典プレゼント
- レビュー内容を引用して著者からのコメントを添える
- レビュアーへの感謝の気持ちを表すハイライト投稿
- 投稿例:
【読者の皆様へ】
新刊「○○○○」をお読みいただいた方、感想をぜひお聞かせください!
皆さんのレビューが次の読者さんの大きな参考になります。また、私自身も皆さんの声を次作に活かしていきたいと思っています。
今週末までにレビューを投稿してくださった方の中から、抽選で3名様に「○○○」をプレゼントします!
レビューはこちらから:[リンク]
#電子書籍 #レビュー募集 #○○○○
SNS活用の注意点
- 頻度のバランス:レビュー依頼の投稿が多すぎると読者に嫌悪感を与える可能性があります。価値あるコンテンツと適度にミックスしましょう。
- プラットフォームごとの調整:同じ内容でも、各SNSの特性に合わせて表現や形式を変えると効果的です。
- 継続性:一時的なキャンペーンだけでなく、継続的な関係構築を意識しましょう。
SNSを効果的に活用することで、単にレビュー数を増やすだけでなく、読者コミュニティの形成にもつながります。長期的な著者活動を考える上で非常に重要な資産となるでしょう。
5. レビューキャンペーンの実施
集中的にレビューを増やしたい場合は、期間限定のレビューキャンペーンが効果的です。読者に明確なインセンティブを提供することで、レビュー投稿を促進します。
効果的なキャンペーン設計
- 期間設定:
- 短すぎず長すぎない適切な期間(1〜4週間程度)
- 新刊発売から2週間後など、多くの読者が読み終わる頃に設定
- インセンティブ選び:
- 追加コンテンツ(本編に関連した特別レポートや小冊子)
- デジタル特典(テンプレート、ワークシート、チェックリストなど)
- 次回作の割引クーポン
- 抽選によるプレゼント(関連書籍、オンラインセミナー参加権など)
- 参加条件とルール:
- レビュー投稿後にメールで連絡してもらう仕組み
- 「星5つのレビューのみ」などの条件は設けない(プラットフォーム規約違反になります)
- レビュー確認のための簡単な手順を明示
キャンペーン告知の方法
- 本の中に告知:電子書籍の最後または特設ページにキャンペーン詳細を記載
- メールマガジン:購読者に直接案内
- SNS:各プラットフォームで定期的に告知
- 著者ウェブサイト:専用ページを作成して詳細を説明
キャンペーン例
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【期間限定】レビュー投稿で特別特典プレゼント!
「○○○○」のレビューを投稿してくださった方全員に、
未公開の特別レポート「○○○○の実践事例10選」をプレゼントします。
■キャンペーン期間
2025年●月●日〜●月●日まで
■参加方法
1. Amazon(または他のプラットフォーム)で本書のレビューを投稿
2. 以下のフォームから、お名前とレビュー投稿画面のスクリーンショットをお送りください
[フォームリンク]
3. 24時間以内に特典をメールでお送りします
※レビューの内容や評価に関わらず、すべての方に特典をお送りします。
※レビュー投稿には実際に本を購入したアカウントが必要です。
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実施上の注意点
- プラットフォーム規約の遵守:Amazonなど各プラットフォームには、レビュー獲得に関する厳格なルールがあります。「星5つのレビューと引き換えに特典を提供する」といった条件付けは規約違反となる可能性が高いです。
- 特典の価値:インセンティブは本体価格の30%程度の価値があるものが効果的とされています。あまりに安価すぎると効果が薄く、高すぎると不自然なレビューが増える可能性があります。
- 透明性の確保:「正直な感想をお聞かせください」と明記するなど、公正なレビューを求めていることを明確にします。
レビューキャンペーンは、特に新刊発売時や販売が停滞している時期に効果的です。計画的に実施することで、短期間に多くのレビューを集めることが可能になります。
レビュー数を増やす際の注意点と倫理的配慮
電子書籍のレビューを増やす取り組みを行う際は、以下の点に注意することが重要です。
プラットフォーム規約の遵守
各電子書籍プラットフォームには、レビューに関する厳格なルールがあります。これらに違反すると、レビューの削除やアカウントの停止などのペナルティを受ける可能性があります。
- 禁止されている行為の例:
- 家族や親しい友人にレビューを依頼する(利害関係者のレビューとみなされる)
- 良いレビューと引き換えに特典を提供する
- 悪いレビューを書き込まないよう依頼する
- 虚偽のレビューを投稿する、または依頼する
- レビュー交換(「あなたの本のレビューを書くから、私の本のレビューも書いて」)
質より量を重視しない
レビュー数を増やすことは重要ですが、質の低いレビューが多数あるよりも、内容の充実した正直なレビューが少数ある方が長期的には効果的です。
- 質の高いレビューの特徴:
- 具体的な感想や意見が含まれている
- 本の良い点だけでなく改善点にも触れている
- 読者の視点で書かれている
- 内容についての具体的な言及がある
ネガティブレビューへの対応
すべての本に対して、必ずしも好意的なレビューだけが集まるとは限りません。ネガティブなレビューが投稿された場合の適切な対応も重要です。
- 建設的な対応:
- 冷静に内容を分析し、正当な批判点は謙虚に受け止める
- 必要に応じて、著者コメント機能などを使って丁寧に回答する
- 誤解に基づく批判には、事実を優しく説明する
- 感情的にならず、プロフェッショナルな態度を保つ
- 避けるべき対応:
- 感情的な反論や非難
- レビュアーへの個人攻撃
- レビュー削除の依頼(明らかな規約違反がある場合を除く)
- 複数アカウントからの「役に立たない」評価のクリック
ネガティブレビューも、著者にとって貴重なフィードバックです。次回作の改善に活かせる点を見つけることで、より良い書籍を生み出す機会と捉えましょう。
まとめ
電子書籍のレビューを増やすことは、販売促進と著者としての信頼構築に大きく貢献します。この記事で紹介した5つの方法を実践することで、レビュー数を効果的に増やすことができるでしょう。
- レビューリクエストページを本の中に設ける:読者が本を読み終えた直後に、丁寧にレビューをお願いする
- ARCレビュープログラムを活用する:発売前に一部の読者に先行して本を提供し、レビューを依頼する
- メールリストの活用:既存の読者とのつながりを活かしてレビューを依頼する
- SNSを活用したレビュー促進:各SNSの特性を理解し、読者とのコミュニケーションを深める
- レビューキャンペーンの実施:期間限定で特典を提供し、集中的にレビューを集める
これらの方法を組み合わせることで、より効果的なレビュー獲得が可能になります。レビューは著者にとって“読者との対話”の第一歩でもあります。読者の声に耳を傾け、より良い本づくりに活かしていきましょう。初心者の方でもできることから少しずつ実践し、信頼ある著者としてステップアップしていくための参考にしていただければ幸いです。
※ただし、各プラットフォームの規約を遵守し、倫理的な範囲内での取り組みを心がけることが重要ですので、その点はご注意いただければと思います。
電子書籍のレビュー獲得は一朝一夕で成果が出るものではありません。継続的な取り組みと読者との信頼関係構築が、長期的な成功につながります。あなたの電子書籍が多くの良質なレビューを獲得し、より多くの読者に届くことを願っています。





